「なんで?」私は彼を見る。「それだったら、まだ幸せなほうさ。」彼はそう言った。「そうかな。」私は首をかしげる。「みんな、自分を不幸だと思いたいだけなんだ。」今度は彼が持論を述べる。もちろん酒が入っていた。「不幸自慢。」私は自分でそう言って、笑ってしまった ...
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May 2023
小説「グッバイ!とてもツライけど」第十七日目 義手1
阿佐ヶ谷にあるバーに、仕事帰りの私はよく行っていた。そこの常連には義手の男がいた。義手といっても、今は技術も発達しているので見ただけでは分からない。普通に飲んで喋って、そして気づくのだ。 「ん?」私が声をあげると、彼は首を振った。 「これね。」義 ...
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