そして、ある日その組の長である監督が死んだ。目標に向かって進んでいたはずの俺たち車輪は、操縦士を失った。そしてガタンガタンと壊れていく。分解していく。結果的にはよかったのかもしれないと、あとになって俺は思う。もしそのまま監督が生きていたら、その戦車は永 ...
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December 2022
小説「グッバイ!とてもツライけど」第十四日目 不利5
そこで格闘しているのは俺だけではない。あらゆるスタッフがもんぞりがえりながら転げている。言うならば「ブリッジしながらどこまで歩けるか競争」みたいなものだ。無理を承知で進む。でもどこかで限界がくるから、一休みしてると、上司が檄を飛ばす「何を休んでる。」「 ...
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小説「グッバイ!とてもツライけど」第十四日目 不利4
映画の現場は戦場のようなもんで、マザーファッカーな奴らがマザーファッカーな言葉を発していた。そこは「組」であり、上下関係で動くアメーバみたいなもんだ。人が出たり入ったりしながら、それぞれの役目をこなしていく。俺は新入りだったから、訳も分からず「あれをし ...
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小説「グッバイ!とてもツライけど」第十四日目 不利3
とにかく俺は東京にやってきて、不利を承知の勝負をしている。映画の撮影現場に入り込んだ。音楽をやめ、道を踏み外そうとしていた。なぜなら音楽は斜陽産業で、CDはほとんど売れなくなっている。それに比べると映画産業は、まだ強い。みんなテレビは見なくなってきてい ...
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小説「グッバイ!とてもツライけど」第十四日目 不利2
言葉というのは難しい。こちらが意図している意味で相手が取っているかといえば、そうとは限らない。ましてや東京というのは江戸、明治時代からの日本の中心地。中央集権国家の粋を極めた、酸いも甘いも集う場所。日本におけるすべての道は東京へ続くといってもいいし、標 ...
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