ら去っていった。ひっきりなしにきていた連絡も、めっきりこなくなる。「そんなもんやな。」彼はギターをかき鳴らす。でも食い口を失ったことも事実だった。彼は音楽だけでは食っていくことはできず、結局別のアルバイトをするはめになる。長いトンネルが彼の前には広がって ...
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小説「グッバイ!とてもツライけど」第十六日目 不義3
「いつまでもあれやったら、ほんまに尻尾振ってるだけのチワワと変わらん。」彼がそう思ったのには、もう一つ理由があった。それは監督の付き人のような奴が一人前になれるとは思えなかった。彼には前任者がいたのだ。進の入ってきた当時は、その人が監督のそばであれこれ世 ...
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小説「グッバイ!とてもツライけど」第十六日目 不義2
「それにしても、年齢いってるけどな。」そう言ったのは、ある映画監督だ。今回は大きな撮影現場で、彼は監督助手として仕事をしていた。まだまだ下っ端だったが、どことなく認められて監督のそばにいた。「もう二十九です。」彼は自虐的に言う。関西に長い間いたので、東京 ...
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